教頭だより

 「校長室だより」に続いて、「教頭だより」をアップしました。  
 第1回は村上浩二教頭です。

 「伝統校の新たな飛躍」

  中学校への高校説明会で、保護者として説明会に参加する教え子と再会した。当時を思わせる面影で、そうだとわかる。
 しかし、名前が浮かばない。「たしか、マ行だったよな?」「あたってます!」まではよかったが、残念ながらそこまでで降参し、名乗っていただいた。
 そのやりとりを嬉しそうに見ている顔がもう一人。今度は当時の面影が浮かばない。そこへ致命的な言葉、「先生、担任だったんですよ。私が熱を出した時、遠くの自宅まで送ってもらいました。」あ~残念。そんな事実も、名前も全く浮かんでこない。
 「○○ですよー。」あっ、結びついた。眼差しに、女子高生の優しさがよみがえった。
 二人の母親は学年はちがったが、いずれも担任をした教え子で、当時の思い出話に花が咲いた。
 「早朝から呼び出されたんですよねぇ、英語暗唱の再テスト。ちょっとでもつかえると、『ハイ、また明日の朝』でしたねぇ」
 まったく、厳しい目に遭わせたものだ。しかしながら一方で、この上ない嬉しさがこみ上げてきた。
 「当時の厳しさに多くの不満があるだろう。にもかかわらず、この人たちが母親となってもひとかけらの信頼を南高に託して、自分の子どもを母校に送ろうとしてくれている!」
  自分の教え子が、担当する生徒の保護者となって再会する。もう10年も前からそんなことが頻繁に起きる。そのたびに齢を重ねたと実感している。
 しかし、「お子さんを是非南高によこしてください。」という思いで出向いた説明会での出来事は、もっと深い思いを抱かせた。「連鎖」である。そこに「信頼の連鎖」を感じた。

  続いて7月9日に東京矢の原会に参加する機会を得た。20年も前に一度出席したことがあった。当時はほんの数十名の集まりだったと記憶している。
 それが現在は200名を越える大盛況ぶりである。1期からの大先輩諸氏ばかりでなく、今年卒業したての大学1年生まで幅広い年齢層が参加している。
 自身は9期の卒業生で、懐かしい旧友とも交流できた。そして、かつて11年間在任した当時の教え子たちも数多く、「当時は一番こわかった」とお褒めの言葉もいただいた。
 30期生が数人集まって二次会を催してくれた。今では36~7才で、それぞれの組織の中で中堅として活躍している。一瞬にしてタイムスリップして、みんな人間関係の悩みに始まり、子育て論、教育論、さらには人生観までさまざまな想いをぶつけてくれた。
 一生懸命に一つひとつに答えてゆく。みんなは口をそろえて、「やっぱり先生は、いつまでたっても先生だ。」と言ってくれた。こそばゆいが、嬉しい言葉だった。
 ここでも「絆」を感じた。そこに「信頼の絆」がある。
  「信頼の連鎖」「信頼の絆」。この積み重ねの上に「伝統」が確立されていくのであろう。

 創立五十周年を迎え、今年は「新たな飛躍の50年をめざして」出発した。間もなく二万人になろうという多くの卒業生に支えられ、松江南高は「伝統校」として新たな出発の時を迎えた。
 「創造進取」の旗印のもと、「伝統」を築き上げながら、発想豊かに斬新な取組を目指したいものだ。


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